Dr.Peper make health happen 健康ブログ

2013年1月28日 月曜日

「ヘルシーな食事」をしているつもりだけど、これって体に悪いの?

投稿日:2012年3月16日

私の栄養が偏っているなんて、なんで言えるんですか?
バランスのとれた食事内容で、肉、野菜、果物、乳製品などしっかり摂っています。
複数のビタミンも毎日飲んで、地元の農家の市場でオーガニック野菜も買っています。
米国心臓協会と米国農務省の食生活ガイドライン・プレート型・ピラミッド型基準に沿った食事をしています!

人類の進化の過程をみると、人間の遺伝子にとっては狩猟民・採集民の食事様式が最適なのですが、ここ数百年の中で私たちの食生活は劇的に変化し、ご先祖様の時代の理想的な食事からまったく異なる食事内容になっています。今わたしたちが口にしている食べ物は5千年1万年前には口にしていなかったとうもろこし、麦、牛乳、そして一連の加工パック食品などです。大昔には、はちみつの摂取量は年間約1kgだったところ、今では平均72.6kgの糖を摂取しており、必須のビタミンAやDなどを含むレバーなどの内臓肉ではなく、ステーキを食べています。

本当にヘルシーな食事とは、栄養のない高カロリー食(例:シリアル、ハンバーガー、白米、白い小麦粉)でわずかにビタミンやミネラルが添加されているものではないのです。真にヘルシーな食事はわたしたちの進化の歴史に一致しているもの、つまり狩猟民・採集民の食事で、わたしたちの体と脳の成長と維持を支えるものです。ヘルシーな食材は主に、自然の非加工食品で成り立っており、たとえば野菜、葉物、果物、ベリー、ナッツ、根菜類、芋類、天然の(養殖でない)魚、放牧畜肉などです。これらの食材を食べると、FDA米国食品医薬品局が発表している一日摂取基準量(RDI)ガイドラインをはるかに上まわってしまいます。このガイドラインは米国の健康な人の97~98%の必要量を満たすと考えられている栄養摂取量です。Recommended Daily Intake (RDI) guidelines

これらのビタミンミネラルの最低限の一日摂取基準値は、最適な健康状態を保つためには低すぎ、不足している場合がほとんどです。マイケル・ポランが著作, In Defense of Food. で述べているとおり、栄養素は単独で作用するのではなく相互に作用しながら機能します。

米国農務省(USDA)発表の食生活ガイドライン・プレート型・ピラミッド型での栄養ガイドラインやアメリカ心臓協会(AHA)は研究結果などよりも大規模なアグリビジネスによるロビー活動に沿った内容です。USDAやFDAのガイドラインに沿った食事をしていると、長期の無症候性の栄養失調の状態になってしまい、病気と闘う力も弱まります。

もし、推奨されている欧米化食の食事内容が十分なのであればビタミンやミネラルのサプリメントを摂って病気を防ぐ必要などないはずです。でも全くそうではありません。対照群をおいた研究において、特定のサプリメントを摂ることでいくつもの疾患を予防あるいは発症を減らすことができることがわかっています。

・妊娠前に葉酸(ビタミンB9)を400㎍/日摂取すれば新生児の二分脊椎(神経管の欠損)の発症を71%も減らすことができます。自然の葉酸が豊富に含まれている食材、葉物(ほうれんそう、アスパラガス、蕪の葉など)や卵黄、ひまわりの種、レバーなどの
食品を食べていれば葉酸サプリメントの摂取は必要ないかもしれません。

・妊娠している女性は魚油カプセル(オメガ3を1000㎎含有)を妊娠期間中に摂れば、植物性カプセルを摂る妊娠女性に比べて、生まれた赤ちゃんが湿疹やアレルギーになるリスクを40%減らすことができます。オメガ3を豊富に含む青魚や亜麻仁(あまに)、地鶏で餌にもろこしや大豆が含まれていない鶏の卵、そして哺乳類の脳を食べていれば、オメガ3のサプリを摂る必要はないか
もしれません。

・注意欠陥性多動障害は、非加工食品や緑黄色野菜・根菜類を子供たちがより多く食べると減らすことができます。

・ビタミンDのサプリを摂取した十代女性は、摂取しなかった同年齢の女性たちに比べて骨折が有意に少ないです。年配女性で
骨粗鬆症が大幅に増えている背景に、慢性のビタミンD不足(工業化された大規模アグリビジネスによってもたらされる慢性の栄養失調)と、日焼け止めの使用が大きく影響を与えているとはいえないでしょうか?若い女性たちが自然のビタミンD豊富の食材、アルファルファや、青魚、牛レバー、地鶏の全卵、そして十分に太陽光を浴びていたらビタミンDのサプリは必要ないかもしれま
せん。

工業化された欧米化した食事を食べていると神経変性疾患の発症リスクが上がるという研究もあります。血中のオメガ3濃度が低い成人は、高濃度の成人群に比べて、大脳の容量が有意に少ないという研究があります。さらに、血中のオメガ3濃度が低い成人は抽象的記憶力、視覚記憶力、実行機能(行動管理能力)が高濃度の成人群に比べて有意に悪いというデータがあります。

これらの研究結果は、脳の委縮が多発性硬化症やパーキンソン病、アルツハイマー病などの脳神経疾患と関連した特徴であることから懸念されることではあります。今の食生活のせいで、アルツハイマー病やADHDが増加しているのでしょうか?

サプリを摂ることである種の疾患が予防できるのであれば、脳と体に十分な栄養をもたらす食事をしっかり摂るほうが賢いのではないでしょうか?

テリー・ウォール医師は、この感動的なビデオDr. Terry Wahls, MD, Minding Your Mitochondria, 「自分のミトコンドリアは自分で面倒みよう」の中で、西洋医学では治らないとされている多発性硬化症を自分で治した経緯について述べています。ウォール先生は脳にとって最適の栄養を摂れるような狩猟民・採集民の食事をして治したのです。3年以上かけて車椅子生活を脱し、自転車に乗り、このYouTube動画にもあるとおり乗馬までできるようになったのです。

狩猟民・採集民の食事の良さをぜひ体験してください。1か月間、狩猟民・採集民のように食べましょう。一日にオーガニック野菜や葉物、ベリー類、根菜類、果物、芋類、魚、放牧されている畜産動物(あるいは地鶏の)の臓器を9カップ相当食べましょう。とうもろこし製品や砂糖、加工食品は食べないようにしましょう。4週間ほどすると、違いを実感するでしょう。よりエネルギーを感じ、炎症などを起こす頻度が少なくなり、頭の回転が良くなります。
食事や栄養についてのガイドラインに関しては自著Fighting Cancer-A Nontoxic Approach to Treatment. の第9章をご覧ください。


投稿者 ナチュラル心療内科