Dr.Peper make health happen 健康ブログ

2013年1月28日 月曜日

うつや不安症のとき、薬を飲んだほうがいいのでしょうか?

投稿日:2012年1月20日

うつや不安症、パニック障害などの気分障害の治療薬をこれから飲む方あるいは飲んでいる方には、ロバート・ウィテカー著「Anatomy of an Epidemic(流行り病の解剖学)」を必読書としてお勧めします。この本は細部にまでエビデンスをもって論じながら小説のように読みやすく、向精神薬の効果が「神話」に過ぎず、服用によって一生涯の機能低下と症状の悪化につながる可能性があることを述べています。著者は、うつ病、注意欠陥多動性障害の子供たち、双極性障害、パニック障害、不安症、そして統合失調症に至るまでこの論点での研究結果を次々と示しています。たとえば、カナダの研究で1281人のうつ病患者さんたちで短期的に日常に支障をきたす不調となった人たちの研究を引用し、その中で、抗うつ薬を飲んだ人の19%が長期に不調をかかえることになり、一方、薬を飲まなかった人の9%が長期に日常に支障をきたすほど不調だったと述べています。

さらに重要な点として、パニック障害に対してザナックス(アルプラゾラム)などのベンゾジアゼピン薬で治療された場合、投薬が漸減されていって投薬終了した後の長期でみると、プラセボ群の方が結果がよい、という点があります。ウィテカーはFDAがこの薬を認可したときの研究データの一部である下記のグラフを用いてこの考え方について説明しています。
(グラフの説明:x軸=期間(ベースライン、週数)、左から積極的治療期間、投与量漸減期間、投薬終了、 y軸=パニック発作の回数。濃い実線=Xanax投与群、薄い実線=プラセボ投与群)

このアップジョン社のザナックスの研究では、患者さんは8週間にわたりこの薬物もしくはプラセボで治療されました。その後、9週目から12週目にかけて投与量を徐々に減らし、最後の2週間は投薬なしです。ザナックスを飲んだ患者さんは最初の4週間の治療効果が良好ですが、これはアップジョン社が患者さんたちの日記に焦点をあてて効果を判定している期間です。ところが薬の量が減ってくる期間には投薬群の患者さんたちはプラセボ群の患者さんたちよりもパニック発作の回数が増えており、研究の最後の段階では投薬群の方が症状がひどかったという結果になっています。出典: Ballenger, C "Alprazolam in panic disorder and agoraphobia." Archives of General Psychiatry 45 (1988): 413-22 (バランジャー、C著「パニック障害と広場恐怖症におけるアルプラゾラム」 精神科学アーカイブ 45 (1988) 413-422). Pecknold, C "Alprazolam in panic disorder and agoraphobia." Archives of General Psychiatry 45 (1988): 429-36. (ペックノルド,C著「パニック障害と広場恐怖症におけるアルプラゾラム」 精神科学アーカイブ 45 (1988):429-436)
引用元:ロバート・ウィテカー (2010―03-31)「流行り病の解剖学:魔法の弾丸(特効薬)、向精神薬、そしてアメリカで驚愕的に増えている精神疾患について(p.297)

この本の内容と、科学的なエビデンスをみると、非薬物療法を治療の第一のアプローチにしたほうがよいことを示唆しています。命にかかわる選択かもしれません。




投稿者 ナチュラル心療内科クリニック